まともな仕事と待遇


「女性による女性のための相談会」 新宿区で開催(3/13,14)

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、事業所が営業自粛や閉鎖に追い込まれる中で、生活 困窮する女性が急増している。そんな現状を受け、3月13日、14日に新宿区立大久保公園で「女性による、女性のための相談会」が開催される。相談会に先駆けて3月1日に厚労省で記者会見が行われた。

主催するのは、「女性による女性のための相談会」実行委員会。2020年年末から年始にかけて新大久保公園で行われた「年越し支援・コロナ被害相談村」に参加したメンバーを中心に結成した。労働組合、市民団体、日本労働弁護団などの女性有志約60人が参加している。

3月1日の記者会見、左から菱山南帆子さん、雨宮処凛さん、松元千枝さん、吉祥真佐緒さん
女性からの相談が急増したコロナ禍

コロナ禍のこの1年、多くの女性たちが切迫した貧困状態に陥っている。リーマンショック後に行われた2008年の「年越し派遣村」では、505件の相談のうち女性はわずか5件だった。しかし、今回の「年越し支援・コロナ被害相談村」では、相談数前344 件のうち62件が女性だったという。

メンバーもひとり作家の雨宮処凛さんは、コロナ禍における貧困問題を解決するために昨年5月に結成された「新型コロナ災害緊急アクション」にもボランティアとして参加してきたが、電話相談の半数は女性だったという。また電話代が払えず、フリーWifiなどを利用して送られてくるメール相談は、より切迫した例が多いが、そちらも相談者の2、3割が女性だった。

「年末の『年越し支援・コロナ被害相談村』のアンケートでは、相談にきた女性の29%が住まいについて『なし』と答えています。すでに路上生活という人もいるし、知人宅やネットカフェなどで寝泊まりをしている。これだけのパーセンテージの女性に住まいがないというのは、いままでになかったことです」(雨宮さん)

また、これとは別に昨年8月に実施された「何でも電話相談会」では、感染が拡大する直前の2月から8月までの半年で、月収が9万2000円も減収したと派遣社員がいたという。「国税庁調べの非正規女性の平均年収は154万円。9万円の減収があれば、家賃などが払えなくなるのも必至だ。」と雨宮さんは懸念する。また、以前は野宿者が常連だった炊き出しに女性が並ぶことも珍しくなくなり、中には、夫や子どもためのために、炊き出しを複数まわっている女性もいたという。

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女性ならではの相談に対応

アンケートを見ると、「生活が苦しい」「住むところがない/家賃滞納」「仕事がない」などのほか、「家族に虐待されている(いた)」「養育費がもらえていない(母子)」などの悩みが並ぶ。こうした女性ならではの相談に対応しようというのが、今回の相談会だ。

「女性の相談の中には、『本当はセーター一枚で良いから欲しかったけれど、男性の相談員には言いにくかった』。という声や、『できれば女性の法律家に相談したい』という声がありました。たとえば、生理用品が本当は欲しかったけれど男性相談員には相談しにくい、など、女性特有のニーズがあるはず。女性のための支援体制を作る必要があると考えました」(実行委員会でジャーナリストの松元千枝さん)

実行委員のひとりで、DV被害者支援を行う一般社団法人エープラス代表理事の吉祥真佐緒さんは、「女性は子どものころから、「わきまえた」生き方をしろと育てられ、職場や家庭で困難な状況に置かれても、不平不満を言わずにその状況の中で耐えてきた」と指摘。「自分ひとりで抱え込まないで。ためらわず相談して、悩みを話して欲しい。」と訴える。

女性のための相談会は、3月13日(土)と14日(日)10時〜17時、東京都新宿区の大久保公園で開催される予定だ。生活相談や労働相談だけでなく、子育てに関する悩みや、DV被害や性暴力被害など幅広い相談を受け付ける。子連れの人のためのキッズスペースも設置。またレトルト食品のほか、野菜などの生鮮食品、衣料、生理用品、シャンプーなどのヘアケア用品、基礎化粧品などの生活物資も用意する。セクシャルマイノリティーや、多言語や手話による相談にも対応する。

ベトナム語、英語、スペイン語、フランス語など各国言語にも対応呼びかけも行われている。

3月2日には、相談会実行委員の7名が都庁で小池百合子都知事と面会。要請書を手渡し、相談会への支援や女性への公的支援を要請しら。小池都知事は「まずはコロナを抑えて働く場を確保するのが重要。社会における女性の問題にはこれからもしっかりと対策を打っていきたい」と述べた。実行委員会では、今後、相談者の数が多かった豊島区や新宿区にも要請を行う予定だ。

「女性による女性のための相談会」の詳細や最新情報は、実行委員会Twitter @sodanforher2021で。

by covot編集部

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